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【ジョアン・パリーニャ】プレースタイル解説:プレス×カバーリングで相手の芽を摘むMF

ジョアン・パリーニャ サッカー選手

ジョアン・パリーニャは、トッテナムの守備的MFとしてチームの安定感を支える存在として注目を集めています。ポルトガル代表にも名を連ねる彼は、相手に息をつかせないハイプレスと、広大な守備範囲をカバーリングによって統制する戦術眼が最大の武器です。

さらに、左右両足を自在に使い分けるパス精度の高さや、ミスを誘う的確なタックルで攻撃の芽を摘み取り、ボールを奪った瞬間からチャンスを演出できるプレーも見逃せません。

本記事では、ジョアン・パリーニャのプレースタイルをプレスとカバーリングの視点で徹底解剖し、彼がいかにフルハムの中盤を守護するとともに攻撃の起点となっているのか、その戦術的役割と具体的アクションの全貌に迫ります。

プロフィール

ジョアン・パリーニャ サッカー選手
  • 国籍:ポルトガル
  • 生年月日:1995年7月9日、30歳
  • 出身地:ポルトガル、リスボン
  • 身長:190cm
  • 体重:77kg
  • ポジション:守備的ミッドフィルダー(CDM)
  • 利き足:右足
  • 現所属チーム:トッテナム・ホットスパーFC
  • 背番号:未定
  • 今シーズン試合出場数:1試合出場(2025年8月6日現在)
  • 市場価値:3000万€(2025年6月5日現在)
  • 給料:不明
  • 契約満了日:2026年06月30日
  • ローン元契約満了日:2028年06月30日
  • エピソード:長年家族が所有する土地に自ら建てた自宅を非常に大切にしている。

キャリア&タイトル

ジョアン・パリーニャ サッカー選手

経歴

  • クラブ歴
  • モレイレンセFC(2015-2016):29試合出場
    • 2015年8月12日、ローン移籍。2015年8月17日、アロウカ戦でチームデビュー。
  • CFベレネンセス(2016-2017):18試合出場、1得点1アシスト
    • 2016年8月9日、ローン移籍。2026年8月15日、ヴィトーリア・セトゥーバル戦でチームデビュー。
  • スポルティングCP(2016~2022):95試合出場、7得点
    • 2017年1月4日、ローン移籍から復帰。2017年1月22日、マリティモ戦でチームデビュー。
  • SCブラガ(2018~2020):76試合出場、6得点3アシスト
    • 2018年8月7日、ローン移籍。2018年8月20日、サンタ・クララ戦でチームデビュー。
  • フラムFC(2022~2024):79試合出場、8得点1アシスト
    • 2024年7月4日、5年契約で移籍。2022年8月6日、リバプール戦でチームデビュー。移籍金2490万€
  • FCバイエルン・ミュンヘン(2024-2025):25試合出場
    • 2024年7月11日、4年契約で移籍。2024年8月17日、ウルム戦でチームデビュー。移籍金5100万€
  • トッテナム・ホットスパーFC(2025~現在):0試合出場、0得点0アシスト
    • 2025年8月3日、出場機会を求めて買取オプション付きのローン移籍。
  • 代表歴
  • ポルトガルU-18代表(2013):2試合出場
  • ポルトガルU-19代表(2013-2014):14試合出場、1得点
  • ポルトガルU-20代表(2015):2試合出場
  • ポルトガル代表(2021~現在):34試合出場、2得点1アシスト
    • EURO:2021、2024出場

タイトル歴

  • クラブ
  • SCブラガ
    • アリアンツ・カップ:2019-2020
  • スポルティングCP
    • アリアンツ・カップ:2020-2021、2021-2022
    • Liga NOS:2020-2021
    • Supertaca:2022
  • バイエルン・ミュンヘン
    • ブンデスリーガ:2024-2025
  • 代表
  • ポルトガル代表
    • UEFAネーションズリーグ:2024-2025

プレースタイル

2025-2026試合データ

ジョアン・パリーニャ サッカー選手
ジョアン・パリーニャ サッカー選手

攻撃面では、パス試行74.36(92%)およびパス成功率92.4%(97%)を記録し、攻撃の起点作りに大きく貢献しています。しかし、非ペナルティゴール0.00(13%)やアシスト0.00(10%)、npxG0.12(79%)と、直接得点に結びつくプレーは乏しいでしょう。ショット合計1.60(85%)やショット生成アクション1.81(30%)は平均的な水準です。守備面では、タックル3.19(93%)、インターセプト0.85(39%)、エアリアル勝利2.34(96%)という高い数値を示し、相手攻撃を確実に封じ込めています。一方、プログレッシブキャリー0.43(4%)やテイクオン0.43(32%)は個人突破力に課題があり、改善余地があるでしょう。総合すると、ビルドアップと守備の強さが光る一方で、得点創出やドリブル突破の向上が今後の課題です。

引用FBREF、Joao Palhinha (2025年8月6日現在)

プレースタイルの特徴

ジョアン・パリーニャは、現代サッカーにおける“守備的ミッドフィルダー”の理想像を体現する選手です。190cmの体格を活かしたフィジカル、圧倒的な守備力、そして戦術理解に裏打ちされたポジショニングで、相手の攻撃の芽を摘み取ります。単なるボール奪取にとどまらず、チーム全体の守備構造を支える“中盤の盾”として機能するでしょう。彼のプレーには以下の特徴があります。

  • 圧倒的なハイプレスと奪取力:190cmの長身と柔軟なステップワークを両立させたハイプレスは、序盤から試合のトーンを掌握します。相手SBやCBがボールを保持した瞬間、鋭い視線と絶妙な間合いでプレッシャーをかけ、パスコースを根こそぎ封鎖するのです。1試合平均10回以上のタックルとインターセプトは、単なる数字を超えて相手の組み立てそのものを崩壊させる威力を秘めるでしょう。中盤でのワンツーやバックパスに対するリアクションも迅速で、相手がゲインラインを突破する前に芽を摘みます。ボール奪取後は一瞬で縦へのカウンターへスイッチを入れ、攻守のテンポを一気に加速させるでしょう。彼のプレスはチーム全体の守備統率に直結し、“攻守のリズムメーカー”としての役割を完璧に果たしているのです。
  • 広大な守備範囲とカバーリング:中盤の底で常に最適な距離感を保ち、身長190cmのリーチを最大限に活かしたポジショニングをキープします。 相手サイドバックやウイングがボールを持つや否や、鋭い読みで縦パスラインからドリブル侵入経路までを同時にケアするでしょう。左右どちらのサイドにも素早く寄せ、場合によっては最終ラインにも飛び込んでセカンドボールを確実に奪取します。 ライン間のスペースを瞬時に埋める動きは、味方CBやボランチのカバー負担を軽減し、高い守備ライン維持を可能にするでしょう。 相手のパスコースが限定されるため、中央突破を試みた相手は早々にサイドへ逃げざるを得ず、結果的に相手の攻撃を外側へ誘導します。 この広範囲なカバーリングで中盤の安定感が飛躍的に向上し、チーム全体の守備構造が盤石にするのです。
  • 卓越した対人能力とフィジカル:長身と強靭さを兼ね備えたフィジカルは、ピッチ上で圧倒的な存在感を放つ。 1対1の場面では、相手への寄せが速く、低重心を維持したタックルでボールを削ぎ取ります。 腕の使い方が巧みで、相手の身体をブロックしつつパスコースを切り返し、突破を許しません。 高さを活かす空中戦では190cmのリーチでほぼ無敗を誇り、セットプレー時の要所を抑えるでしょう。 俊敏性も併せ持ち、カバーリングへの切り替え動作やポジションチェンジがスムーズです。 相手エース級プレーヤーにも物怖じせず挑み、チームに安定感と安心感をもたらすでしょう。
  • 精密なパスワークで攻撃の起点に:奪ったボールをクリアに終わらせず、精密なパスワークで攻撃の起点へと転換します。 左右両足から放たれるロングパスは受け手の動きを読み切り、ミドルゾーンから前線へ最短距離で運ぶ高精度を誇るでしょう。 ワンタッチ、ダイレクトのフィードでカウンターのテンポを一瞬で上昇させ、相手に再構築の隙を与えません。 プレッシャー下でも俯瞰的な視野で最適なパスラインを瞬時に選択し、ミスを極力排除する判断力が際立ちます。 これによりチームは守備から攻撃への切り替え時間を大幅に短縮し、常に試合の主導権を握り続けるでしょう。 中盤でのシンプルかつ効果的な配球は、彼を“守備型メイクメーカー”としても際立たせる一面なのです。
  • 戦術眼とゲームコントロール:戦術眼とゲームコントロールでは、常に試合前後半を問わず俯瞰的な視野を維持し、360度のスキャンで味方の動きと相手の配置を瞬時に把握します。 相手のビルドアップやパス回しの意図を読み取り、プレスの仕掛けどころと戻りどきのバランスは、完璧です。 プレスの起点役を担いながら、自陣に戻る動線もアシストし、チーム全体の守備ラインを前後左右に滑らかにシフトさせます。 攻守の切り替え時にはプレーエリアを制御し、最適なポジションからスペースを埋めつつ、パスコースを創出する“ハブ”として機能させるでしょう。 自らリズムを刻むパス回しやタイミングコントロールで、味方に安心感をもたらしながらゲームのテンポメーカーとなるのです。

弱点

  • 攻撃の起点としての制約:縦パスを試みる頻度が低く、ロングフィードの成功率も散発的で、相手最終ラインを一気に崩す、一撃が不足しがちです。 中盤でボールを保持してもゴール前へのスイッチが入らず、味方の攻撃起点として機能しづらい場面が散見されます。 プログレッシブパスは1試合平均1本以下にとどまり、低い守備ブロックを揺さぶる決定的な前進パスがほとんど出せません。 ドリブルでの仕掛けにも慎重さが目立ち、自らスペースを切り裂いて数的優位を作り出す突破力が物足りません。 攻撃のテコ入れには、長短のパス精度向上や積極的なドリブルトレーニング、連携を深める戦術練習が課題と言えるでしょう。
  • 戦術的柔軟性の課題:特定の局面で求められる役割を深く理解している一方、状況に応じてポジショニングを即座に切り替えるスピードにやや遅れが見られます。その結果、味方との距離感がずれて中盤に思わぬスペースを生むことがあるでしょう。特に前線からのプレスを仕掛けた後に守備ラインを下げるリトリートのタイミング調整にわずかなズレが生じると、チーム全体の陣形連動が乱れがちです。相手が4-2-3-1から3-5-2など多彩なフォーメーションを切り替えてくると、最適なスペース管理へのリアクションが追いつかず、自チームのビルドアップにひずみが生じる場面も増えます。こうした硬直性は、速い攻守の切り替えが求められる現代サッカーにおいて、相手に主導権を握られるリスクを高めているのです。
  • メンタルとカード管理:激しいタックルを武器とするが、そのために相手との接触が常に厳しく、累積警告のリスクが高いです。 実際、シーズン半ばまでにイエローカードを積み重ね、数試合の出場停止に直面する可能性も否めません。 また、ゲームが進むにつれて集中力が徐々に低下し、ポジショニングミスや不用意なタックルを誘発しやすいです。 特に相手のカウンターやフリーランニングの瞬間に判断が遅れ、クリアリングミスやタックルタイミングのズレで大きなスペースを生むこともあるでしょう。 重要局面での一瞬の冷静さの欠如が、相手に決定機を与えたり数的優位を失わせたりするリスクにつながります。 このため、メンタル面の安定とカード管理を徹底しなければ、守備の要としての維持は難しいのです。

まとめ

ジョアン・パリーニャは優れた戦術眼と高いフィジカルを武器に、中盤で相手の攻撃を寸断する守備的ミッドフィールダーです。相手がボールを握ると瞬時にプレッシングのスイッチを入れ、強烈なタックルやインターセプトでボール奪取を量産します。背後のスペースをいち早く察知して大きくスライドし、CBと連動しながら守備ラインを統率する“スイーパー”的役割も担うでしょう。攻守の切り替えでは無駄のないワンタッチパスやロングフィードでカウンターの起動役となり、チームのリズムを一気に引き上げることが可能です。常に前後左右を俯瞰し、味方の攻め上がりをケアしつつ次の攻撃を見据える、その制空権を巡る駆け引きが最大の持ち味と言えます。

一方で、攻撃面ではクリエイティブな展開力やパスバリエーションに乏しく、縦へのキック精度にムラがあるため、攻撃のスイッチを入れ切れない場面が散見されるでしょう。また、激しいタックルスタイルから累積警告によるカードリスクがつきまとい、試合終盤に不用意なファウルを犯すこともあえります。これらを改善しないままでは、“守備の要”としての安定感が揺らぎかねません。

総じて、パリーニャは現代サッカーに欠かせない守備的バランスを体現する選手です。抜群のプレス判断とカバーリング能力で相手の芽を確実に摘み取り、守備ラインの統率役としてチームに安心感をもたらします。ここに攻撃面でのパス精度向上やカード管理の徹底が加われば、まさにオールラウンドMFとしての完成度が高まり、チームの中盤をより一層支配する存在へと進化するでしょう。

バイエルンに移籍しましたが怪我や戦術の適合が上手くいかずフラム時代の輝きを放てませんでした。心機一転、名将のトーマスフランク監督の下で復活してほしいです。今季一年、注目しましょう!

最後までお読みいただきありがとうございました。

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