
リッカルド・カラフィオーリは、イタリアのユースシステムで育ち、ASローマの最終ラインで急成長を遂げる期待のセンターバック/左サイドバックです。
身長188cmの長身を生かし、空中デュエル制圧力で相手の攻撃を封じ込める一方、両足を駆使した高精度フィードでボールを前線へつなぐ組み立て力も兼備します。的確なポジショニングと冷静な判断力で1対1やプレッシング対応にも安定感をもたらし、守備と攻撃のバランスを完璧に両立させるでしょう。
本記事では、リッカルド・カラフィオーリの空中戦パフォーマンス、ビルドアップ貢献、戦術的ポジショニングを詳細に分析し、“可変型ディフェンダー”としての真髄に迫ります。
プロフィール

- 国籍:イタリア
- 生年月日:2002年5月19日、23歳
- 出身地:イタリア、ローマ
- 身長:188cm
- 体重:86kg
- ポジション:センターバック(CB)、左サイドバック(LB)
- 利き足:左足
- 現所属チーム:アーセナルFC
- 背番号:33
- 今シーズン試合出場数:1試合出場(2025年8月22日現在)
- 市場価値:3500万€(2025年5月30日現在)
- 給料:週給12万£→年収624万£
- 契約満了日:2029年06月30日
- エピソード:アーセナル移籍時にイタリアに残りたい彼女と別れて移籍してきたのでそれが話題になった。
キャリア&タイトル

経歴
- クラブ歴
- ASローマ(2020~2022):18試合出場、1得点3アシスト
- 2018年6月18日、プロ契約を終結。2020年8月2日、ユベントス戦でトップチームデビュー。
- ジェノアCFC(2022):3試合出場
- 2022年1月14日、ローン移籍。2022年1月18日、フィオレンティーナ戦でチームデビュー。
- FCバーゼル1893(2022-2023):38試合出場、1得点3アシスト
- 2022年8月30日、移籍。2022年10月9日、FCルガーノ戦でチームデビュー。移籍金1020万€
- ボローニャFC1909(2023-2024):33試合出場、2得点5アシスト
- 2023年8月31日、移籍。2023年9月19日、エラス・ヴェローナ戦でチームデビュー。移籍金2450万€
- アーセナルFC(2024~現在):30試合出場、4得点2アシスト
- 2024年7月19日、5年契約で移籍。2024年8月25日、アストン・ヴィラ戦でチームデビュー。移籍金4500万€
- 代表歴
- イタリアU-15代表(2017):4試合出場
- イタリアU-16代表(2017-2018):6試合出場、1得点
- イタリアU-17代表(2018):3試合出場、1得点
- イタリアU-19代表(2020):2試合出場、1アシスト
- イタリアU-20代表(2020):2試合出場
- イタリアU-21代表(2021~2024):7試合出場、2アシスト
- イタリア代表(2024~現在):9試合出場、1アシスト
- EURO:2024出場
タイトル歴
- クラブ
- なし
- 代表
- なし
プレースタイル
2025-2026試合データ


攻撃の起点作りは安定しており、パス試行47.82(37%)、成功率85.9%(87%)、プログレッシブパス4.18(65%)でビルドアップに貢献しています。ショット創出アクション1.27(10%)とフィニッシュ機会の創出には課題があるものの、非PKゴール0.24(98%)&npxG0.15(97%)で高い決定力を発揮しているでしょう。プログレッシブキャリー1.82(49%)&成功テイクオン0.67(60%)と個人突破力は平均的な水準です。守備面ではタックル2.48(79%)、エアリアル勝利1.76(95%)、ブロック1.09(51%)で対人守備に強みがありますが、インターセプト1.03(61%)&クリアランス2.55(39%)と最終ライン対応には改善余地があります。総合すると、高いパス精度と得点力でチームのビルドアップと仕留めの局面に貢献する一方で、シュート創出アクションの増加と最終ライン守備の強化が今後の成長ポイントとなるでしょう。
引用:FBREF、Riccardo Calafiori (2025年8月22日現在)
プレースタイルの特徴
リッカルド・カラフィオーリはアーセナルの最終ラインで輝く若き左利きディフェンダーです。イタリア各世代代表を経て、セットプレー守備だけでなく攻撃の起点にもなる可変型DFとして注目を集めているでしょう。彼のプレースタイルには以下の特徴があります。
- 圧倒的な空中戦能力:空中デュエル成功率はリーグ上位に位置し、守備ではクロスやロングボールへの反応速度とボディポジションの巧みさで相手を未然に封じているでしょう。 エリア内ではニア&ファー両ポストをカバーし、ヘディングクリアからそのまま前線への的確なパスに繋げるビルドアップ力も兼備します。 攻撃参加時にはセットプレーでのニア停滞やファーポスト侵入で相手守備陣をかく乱し、得点機会を演出する脅威となるでしょう。 フィジカルコンタクトの強さだけでなく、フライト中の頭部コントロールや着地後の素早い切り替え判断にも優れ、 マンチェスター・シティのジョシュコ・グバルディオルのように攻守両面で空中戦を制する次世代ディフェンダー像を体現しているのです。
- 卓越したビルドアップ能力:ボール保持時の視野の広さと瞬時の判断力により、狭いエリアでも最適なパスコースを選択しミスを最小限に抑えます。ショートパスとワンタッチで中盤をリズムよく繋ぐ一方、相手プレス下ではダイアゴナルロングフィードでライン間を一気に崩すでしょう。アンカーの位置まで上がる動き出しを織り交ぜ、ビルドアップ時に人数優位を作り出して前線への供給を安定化するのです。横幅を取りつつカットインで内側に侵入し、ウイング&インサイドハーフとの三角形でパスオプションを多重化します。第二波の展開を意識したポジションチェンジを的確に行い、ボール奪取後も即座に攻撃の起点へと切り替わるでしょう。フリーマン的な立ち位置とワンタッチリリースでプレスをいなし、カウンターの芽を逃さず攻撃のテンポを支配するのです。
- 戦術的柔軟性とポジショナル・プレー:4-2-3-1の左サイドバックから3バックの左CBまで、フォーメーションを跨いだスムーズなポジション移動が可能です。左CB時には中盤のハーフスペースに侵入し、「インバーテッドCB」として数的優位を演出。左SB起用時は状況に応じてオーバーラップとインサイド侵入を使い分け、ウイング&中盤と連携を構築するでしょう。ゾーンディフェンス⇔マンマークの切り替えを一瞬でこなし、相手FWやWBの動きに的確に対応します。相手ハイプレス下ではワイドな位置取りでビルドアップルートを確保し、CBへの圧力を回避するのでしょう。守→攻の切り替え時には“フリーマン”的に浮遊し、ライン間でのパスコースを自ら作り出すゲームコントロール力があるのです。
- インテリジェントな守備判断力:常に周囲のスペースと敵の動きをスキャンし、パスコースが形成される前にポジションを修正することで相手のビルドアップを寸断します。 サイドバック時にはワイドエリアをカバーし、相手のカットインを察知すると内側に絞り込んでショートパスの芽を摘み取る動きが光るでしょう。 CB時には高い位置からフリーマン的に前線プレスを仕掛けたり、深いブロックではラインを維持してダイレクト攻撃を封じ込める判断を瞬時に使い分けます。 ゾーンディフェンスとマンツーマンマークを瞬時に切り替え、状況に応じてタックルの強度やカバーリングの間合いを微調整できるのが最大の武器です。 このようにリスクと安全策のバランスを常に天秤にかけ、ポジションに応じた最適解を選ぶインテリジェントな守備判断が彼を現代サッカー屈指の可変型ディフェンダーに押し上げているでしょう。
- セットプレーでの脅威:188cmの長身と驚異的な跳躍力を駆使し、守備時はニア&ファーポストをカバーして精度の高いヘディングクリアを連発するでしょう。クロスのタイミングに合わせたポジショニングと強烈なインパクトで、50/50の空中戦をほぼ制圧し相手のセットプレーを根本から潰します。攻撃時にはゴール前でブラインドサイドから飛び込む動き出しが巧みで、近距離でのヘディングシュートやファーサイドへの二次攻撃を誘発するのです。プロデビュー戦ではコーナーキックに合わせたヘディングでゴールを奪うも微妙なオフサイドで取り消されたが、その強度と正確性は鮮烈な印象を残しました。練習ではセットプレー動作の反復に多くの時間を割き、タイミング、助走角度、跳躍後の首振りまで細部を磨くことで、攻守両面での存在感を研ぎ澄ませているのです。
弱点
- 経験不足と怪我歴:16歳で左膝半月板損傷と前十字靭帯断裂を同時に負い、約半年にわたるリハビリでユース期の対人トレーニングや戦術浸透の時間を失ました。 復帰後も医療スタッフによる出場時間制限が続き、フルタイムでの連続出場はほぼ皆無。試合感覚の維持や最終ラインでの連携構築に必要な経験値が大きく不足しているでしょう。 この影響で、高速カウンター時や複数のプレッシャー下でのポジショニング調整が遅れ、守備判断の精度にムラが生じる場面が散見されます。 今後は段階的にプレー時間を延ばしつつ、継続的な負荷管理と出場機会の確保で経験値を積むことが、真価を発揮するための鍵となるのです。
- 守備時のポジショニング課題:攻撃的セットプレーやインバーテッドCBとして前線に飛び出す動きが得意な反面、ボールを失った瞬間のリカバリーに時間を要しがちです。 オーバーラップから戻る際にはサイドでの守備切り替えが一歩遅れ、相手ウイングバックとの数的同数または数的不利の局面を生むことがあります。 高いラインを維持しながら再構築を図る際の判断とスプリント動作にわずかなズレが生じると、目の前のスペースが拡大して高速カウンターを許すリスクが増大するでしょう。 ハイラインからローブロックへの守備形態切り替え時には背後を狙われやすく、連携とポジション調整の精度向上が今後の成長ポイントと言えるのです。
- ボール保持時のミスコントロール:プログレッシブパスや力強いキャリーで攻撃にアクセントをつける一方、相手のハイプレスを受ける局面では不用意なタッチや過剰なターンからボールロストを誘発します。 セリエA時代ディフェンダー中、90分あたりのロスト回数とミスコントロール率は下位2%に入り、データが彼のリスク許容度の高さを如実に示しているでしょう。 特にサイドチェンジを狙う際は、プレスの速さを読み切れずにパススピードやタイミングを誤る場面が散見され、中盤のビルドアップを一気に寸断されることもあります。 こうしたミスは相手に即時のカウンター機会を与え、最終ラインの再構築を急がせる要因となってしまうのです。 今後はプレスを誘発しつつも安全なパスオプションを確保できる選択眼と、タッチ数を抑えたシンプル・プレーを徹底して習得することが急務でしょう。
- リスクテイクと疲労管理:2018年10月10日に左膝半月板損傷と前十字靭帯断裂を同時に患い、約11ヶ月の長期離脱を経験します。復帰後は医療スタッフによる出場時間の厳格なモニタリングと、膝周辺の微細な違和感への対処が続き、連戦への起用が制限される傾向です。オーバーラップやプログレッシブキャリーを多用する攻撃的プレースタイルと、守備タスクでの激しいスプリントが終盤のスタミナ切れを招きやすく、判断精度やカバーリングのスピード低下を引き起こす要因となっているでしょう。チームはGPSデータや心拍数モニタリングでトレーニング負荷と休養のバランスを綿密に管理し、適切なローテーション起用とリカバリープロトコルの徹底を図っています。これらの対策がなければ、疲労蓄積によるパフォーマンス低下と怪我再発のリスクが高まり、持続的な起用が困難になる恐れがあるのです。
まとめ
リッカルド・カラフィオーリは、空中デュエルと89%のパスを武器に、最終ラインから攻撃を創出する現代型センターバックです。188cmの長身を活かした制空権の確保に加え、冷静な判断力で前線へ正確な配球を送り込みます。CBとしては稀有なドリブル突破能力でプレッシングを打開し、センターバックと左サイドバック両ポジションでの戦術的柔軟性により、ビルドアップとオーバーラップを使い分ける多面性が最大の持ち味です。
一方で、攻撃意識の高さから守備でのポジショニングにムラが生じ、過去の重篤な膝怪我による脆弱性がプレミアリーグ適応への懸念材料となっているでしょう。また、22歳の若さゆえにパフォーマンスの波があり、一貫性維持と高額移籍によるプレッシャー対応が課題になります。
総じて、カラフィオーリは空中戦とビルドアップを高次元で両立させた現代サッカーの理想形を体現する選手です。圧倒的な制空権と攻撃参加でチームに革新をもたらし、守備の一貫性向上と怪我への耐性強化が加われば、ワールドクラスのモダンディフェンダーとして進化する可能性を秘めているでしょう。
アーセナル1年目も膝のケガなどで出場機会に苦しみました。今季は、怪我に苦しまないようにプレイできるか注目です!
最後までお読みいただきありがとうございました。