
ジョーダン・ピックフォードは、イングランド代表やクラブチームで活躍するゴールキーパーとして、特にPK戦での強さとセービング能力が高いです。
一方で、足元の技術やビルドアップ能力に課題があり、プレッシャーの中でのパス精度や処理のミスがリスクとなる場面が見られます。しかし、その冷静なメンタルと卓越した反射神経がこれを補い、相手シュートへの素早い対応やPK戦での安定感で守護神としての役割を果たしているのです。
本記事では、ピックフォードの特徴とその弱点を深掘りし、PK戦で輝く彼の秘密に迫ります。
プロフィール

- 国籍:イングランド
- 生年月日:1994年3月7日、31歳
- 出身地:イングランド、サンダーランド
- 身長:185cm
- 体重:77kg
- ポジション:ゴールキーパー(GW)
- 利き足:左足
- 現所属チーム:エヴァートンFC
- 背番号:1
- 今シーズン試合出場数:33試合出場、40失点10クリーンシート(2025年4月6日現在)
- 市場価値:2000万€(2024年12月16日現在)
- 給料:週給12.5万£→年収650万£
- 契約満了日:2027年06月30日
- エピソード:2018年のFIFAワールドカップでベスト16のコロンビア戦ではPK戦でイングランドをPK戦での初勝利に導いた。
キャリア&タイトル

経歴
- クラブ歴
- サンダーランドAFC(2011~2017):35試合出場、61失点5クリーンシート
- 2011年、トップチーム昇格。その後2016年1月1日まで各クラブを転々とレンタル移籍する。
- ダーリントン(2012):17試合出場、39失点2クリーンシート
- 2012年1月、ローン移籍。1月21日、カンファレンス・ナショナルのフリーウッド・タウンFC戦でデビュー。
- アルフレトン・タウン(2013):12試合出場、12失点4クリーンシート
- 2013年8月2日、1ヶ月のローン移籍。
- バートン・アルビオン(2013):13試合出場、15失点4クリーンシート
- 2013年8月2日、ローン移籍。
- カーライル・ユナイテッド(2014):28試合出場、27失点7クリーンシート
- 2014年2月8日、1ヶ月のローン移籍。
- ブラッドフォード・シティ(2014-2015):34試合出場、37失点10クリーンシート
- 2014年7月21日、1年間のローン移籍。
- ブレストン・ノースエンド(2015-2016):27試合出場、23失点14クリーンシート
- 2015年7月31日、1年間のローン移籍。
- エヴァートンFC(2017~現在):312試合出場、440失点86クリーンシート
- 2017年6月15日、5年契約で加入。イングランド人最高額の移籍金で移籍。移籍金3000万€
- 代表歴
- イングランドU-16代表(2009-2010):2試合出場、2失点
- イングランドU-17代表(2009~2011):17試合出場、18失点5クリーンシート
- イングランドU-18代表(2010~2012):3試合出場、0失点3クリーンシート
- イングランドU-19代表(2012-2013):9試合出場、6失点5クリーンシート
- イングランドU-20代表(2015):4試合出場、5失点
- イングランドU-21代表(2015~2017):14試合出場、7失点8クリーンシート
- イングランド代表(2017~現在):75試合出場、53失点37クリーンシート
- FIFAワールドカップ:2018、2022出場
- EURO:2020、2024出場
タイトル歴
- クラブ
- なし
- 代表
- なし
プレースタイル
2024-2025試合データ


PSxG-GAが+0.07(65%)や失点が1.21(68%)と、全体的に堅実な守備を見せ、特にペナルティキックセーブ率が66.7%(95%)と決定的局面で大きな安心感を提供しています。 ビルドアップ面では、タッチ数が44.23(92%)、打ち上げ率が52.1%(94%)、平均ゴールキックの長さが50.8(77%)と、攻撃開始時のパス供給能力が際立っています。 一方、クロスストップ率は6.0%(46%)と平均的な水準に留まり、空中戦での対応には今後の改善が期待されるでしょう。 総合すると、ペナルティセーブやビルドアップで高い能力を発揮する一方、空中戦でのクロス対応強化が今後の成長の鍵となる印象的な選手です。
引用:FBREF、Jordan Pickford (2025年4月6日現在)
プレースタイルの特徴
イングランド代表の正守護神として確固たる地位を築いているのがジョーダン・ピックフォードです。エバートンでのクラブキャリアと共に、特に代表での数々のPK戦での活躍は彼の名を世界に知らしめました。以下に、彼のプレースタイルの特徴を詳しく解説します。
- 反射神経とセービング能力:最大の武器である反射神経は、身長185cmという現代のゴールキーパーとしては比較的小柄な体格を跳ね返すほどの威力を持っています。爆発的な跳躍力と卓越した反応速度により、至近距離からのシュートを驚異的なスピードで防ぐ能力は世界トップクラスと評されています。特に、ゴール前の混戦や突発的なシュートに対しても冷静に対処し、セーブの瞬間的な判断力と動きの速さが際立つでしょう。解説者たちは彼の「猫のような」身のこなしを絶賛し、これが数々の重要な試合でチームを救う決定的な要因となっています。その結果、ピックフォードは並外れたセービング技術を持つ守護神として評価され続けているのです。
- 積極的なポジショニングとカバー範囲:積極的なポジショニングを用いることで相手シュートのコースを効果的に制限し、体格的な制約を補っています。彼はゴールラインから離れてプレーし、広いエリアをカバーすることで相手の攻撃を未然に防ぐ能力を発揮します。このスタイルは、現代的な「スイーパーキーパー」としての資質を示しており、守備ラインの裏をケアする際にも重要な役割を果たしています。また、前に出てプレーする彼の戦術は、時に相手との1対1の場面で大きな効果を発揮し、チーム全体の守備に安定感をもたらしているでしょう。この広いカバー範囲は、現代サッカーにおけるゴールキーパーの進化を体現した特徴と言えるのです。
- キック力:彼のロングボールは非常に正確で、守備から攻撃へとスムーズに切り替えるための重要な手段となっています。特に左足から繰り出される70メートル以上のクリアランスは、相手ディフェンスラインの背後を狙い、チームのカウンター攻撃の起点として効果的に機能します。また、これらのボール配給能力により、チームメイトが効率的にスペースを活用できる場面が増え、攻撃の幅を広げる武器となっているでしょう。この技術はピッチ上での彼の貢献をさらに際立たせているのです。
- PK戦の強さ:入念な準備、独自の技術、そして心理戦の巧みさに支えられています。試合前に相手キッカーのデータを徹底的に研究し、水筒に情報を貼るほどの細かな準備を行い、「遅延ダイビング」とも呼べる独自の技術で正確にコースを見極める能力を発揮します。また、心理戦ではゴールポストを叩いたりキッカーに話しかけるなど集中力を揺さぶる術を駆使し、「ピックフォード・シャッフル」で視覚的な揺さぶりも加えているのです。これらの要素が融合し、彼をPK戦で輝かせる秘密となっています。
弱点
- 集中力の欠如:長時間シュートを受けない状況が続くと、集中力が途切れる傾向がある点が課題として挙げられます。この状態では、試合の流れを読む能力が低下し、突然の攻撃への対応が遅れる場合があります。また、リラックスした状態から急に反応を求められる場面で、判断ミスや技術的なミスにつながることがあるでしょう。この集中力の欠如は守護神としての安定感を損なう要因となるため、精神的なトレーニングや試合中の意識の持続がさらなる成長の鍵と言えます。
- パスの精度の不安定さ:強力なキック力を誇り、ロングボールでの展開力を発揮する一方で、プレッシャー下ではパスの精度が不安定になる場面があります。特に足元を使った短いパスでは、相手のプレッシャーに影響されやすく、ミスにつながることがあるでしょう。これにより、相手の攻撃に繋がるリスクを生む場面も見られます。この課題は、特に高いプレスを仕掛けるチームとの対戦で顕著になることがあり、ビルドアップの局面で安定感を欠く要因となることがあるのです。それでも改善の余地があるため、さらなる技術向上によってチームへの貢献度を高める可能性があるでしょう。
- 一貫性の欠如:驚異的なセーブで試合を救う一方で、比較的容易に見えるシュートを防げないミスが見られることがあります。このようなパフォーマンスの一貫性の欠如は、試合展開に影響を及ぼすリスクとなるでしょう。特に集中力を維持する必要のある場面や、長時間シュートを受けない状況が続いた後などに発生しやすい傾向があります。この不安定さは、彼の守護神としての評価を損なう可能性があるため、精神面や安定感を高めることがさらなる成長の鍵となるでしょう。
まとめ
ジョーダン・ピックフォードは、その卓越した反射神経と積極的なポジショニングを活かして守護神として高く評価されるゴールキーパーです。特にPK戦では、徹底した分析と準備、独自の技術、そして心理戦の巧みさによって相手キッカーを圧倒し、試合の流れを劇的に変える力を発揮しています。さらに、彼の正確なロングボールはチームのカウンター攻撃の起点となり、攻撃面でも重要な役割を担っています。
一方で、集中力やパス精度の不安定さ、一貫性の欠如といった課題が見られ、これらの改善がさらなる飛躍につながるポイントとなっています。また、ビルドアップ能力に磨きをかけることで、より安定したパフォーマンスを提供できるでしょう。
総じて、ジョーダン・ピックフォードはその特長と弱点が交錯する個性的なゴールキーパーであり、進化し続ける姿が観客の注目を集めています。特に、プレッシャーのかかる局面での冷静さや、PK戦での圧倒的な存在感が際立っており課題を克服すればイングランド人歴代最高のゴールキーパーになるでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。